お米作り
カルテック農法
[弊社試験田での「密苗」を使用した作付けに関するレポートはこちら]
高齢で離農をする事になった農家さんの田んぼをお借りしてお米を作ってます。
こんな具合に自分がお米を作る背景となった「後継者不足」という日本の農業の問題を身に染みて感じます。
確かに、引退をされた農家さんのご子息は会社務めをされて、休みにはご子息のお子さんのスポーツに出かけてと忙しくて農業をやっている時間がないという事実もわかります。
自分も生業としての「農機具屋」が忙しく田んぼの管理をやり切れるものか最初は心配しました。
そこで、白羽の矢が立ったのは「カルテック農法」です。
この営農方法は稲の生育の特徴をとらえ科学的根拠に基づき資材と労力を抑えられるのが特徴です。
すべての特徴(メリット)を細かく説明する能力はないのでリンク先を参照してください。
自分なりに3行にまとめるとこれです↓
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- 元肥をやらない←コストダウン
- 植付株数を最少にする←苗数の減少
- 秋の台風シーズンにも倒れにくくなる←収穫作業の省力
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他にもあります!
が、ここまで聞いて、「おっ?」と思った方は
実践を通しながらその他の特徴(メリット)もレポートしますのでに数ある営農の選択肢の一つとして見ていただけたら本望です。
作付面積:1.3反(13a)→面積は測ってないけどもっと少なかった
目標収量:9袋(植えられない場所もあるので)→上記事由により下方修正
秋耕し 収穫が終わったら微生物と窒素(硫安)を散布してできるだけ早くに起耕する。 使用した微生物は「ラクトバチルス」という資材。 価格 ¥6050(税別)/袋 1.25㎏入。 400g/10aの散布量なので約1/3を使います。 製品状態は土のような感じなのですが硫安と混ぜてあげれば動力散布機で散布可能。 もちろん、手で散布もできます。 稲わらの分解を促進するラクトですが、より活性化させるため硫安(10kg/10a)を一緒散布します。 これがいわゆる「土づくり」ですね。
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菜種散布←必須ではないのでお好みで・・・ 個人的に緑肥として菜の花を使うので散布してます。 散布する場合、秋耕しをした後できるだけ早めに散布する。
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12月
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越冬1 じっと冬が過ぎるのを待ちます。。。 |
1月 |
越冬2 ひたすら冬が過ぎるのを待ちます。。。 でも、この頃から芽吹いて来てはいます。 |
2月 |
越冬3
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3月初旬 |
春の準備 気の早い菜の花さんがちらほらと咲き始めてます。 |
3月19日 |
春の準備 そろそろ春の支度も本格的になってくる頃です。 |
3月21日 |
迎えた春 前の画像から2週間で様変わりです。 いい匂いを放出し散歩中の方が写真を撮ったりと我々に春を満喫させてくれてます。
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4月 |
裁断 元々、緑肥となるべく植えた菜の花たち。 見ごろを過ぎた頃にフレールモアを装着したトラクターで裁断するのが忍びない。(TT) けど、作業は粛々と進む。。。 |
5月 |
春耕し そして標準ロータリーで起耕しました。 今回、代掻きまでに計2回起耕しました。 が、ここでミス! 本来2回目に起耕する前に「田畑の大将(赤)×2袋」を散布するのですが忘れた・・・r(^^; ※リンク先の名称と違いますが同じものです この資材を巻くと以下のような効果が期待されます。 =======================
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5月 |
水入れ 水入れ完了。 田畑の大将(赤)×2袋も散布完了してます。 初期の成育を抑える為、元肥はやりません。 |
代掻き(5/13)
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田植え(5/14) 4条植えて1条植えません。 苗品種:あいちのかおり 株数:50 苗取量:最小 籾量:200g/箱で苗を作ってます。 今回、苗を12枚使用しました。 |
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除草 本田では除草剤は使いませんでした。 もちろん、省力化の為に除草剤を使ってもらってもかまいません。 |
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中干し 基本的に中干しは必要ありません |
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分けつ肥散布(8/1) 硫安を5kg分けつ肥として散布しました。 1株本数によって調節します。 データはお近くの販売店でご確認ください。 |
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穂肥散布(8/12) 穂肥として尿素を4kg散布しました。 散布量は葉色によって調節します。 数値によってそれぞれの地域でデータがあるのでお近くの販売店で確認してください。
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葉色スケール |
出穂10日前に登熟の為の肥料散布 (8/24) 田畑の大将(赤)10kg×2袋を散布 この肥料をこのタイミングで散布させるための営農方法と言って過言ではありません。 タイミングを逃さないように! ※葉色が濃い(スケールの数値が大きい)時は3袋にして調整 |
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などあって穂がついて成長します。 |
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刈取/乾燥/籾摺(11/7~11/9) データ 収量:8.5俵 9月前半に雨が多かったので晩生品種(弊社も晩生の「あいちのかおり」)は成育不良の農家さんが多かった。 その影響か若干青米が多かったような気もする。
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収穫時期に襲った長雨と台風でも 全く倒れなかった稲。 人間の都合やお天気廻りが悪いと収穫をしたくても出来ないもの。 雨が降る度に稲の倒れる場所が増えていき 終いには台風が来てしまった。 自然との関係なので人間は成す術がない。 カルテック農法をやらなかった場合は別だけど。。。(^^)¥ 2017年10月 |
台風が過ぎ去った後の田んぼの様子。 50m離れたところにある農家さんの田んぼ。 風の条件は全く同じではないにしてもほぼ半分は倒伏してしまっている。 |
総括
弊社は農機具屋なので収穫作業は農家さんが終わってからという事になります。
なので、この営農方法の「収穫が遅れても胴割れがしにくい」という特徴は非常に助かります。
確かに一年を通じて精米してもくず米が出にくいです。(保冷庫保管)
収量に関してですが作付面積が微妙なので使用した苗箱と収量の割合で計算してみると・・・
通常:20枚/反→畝取:10俵
弊社:12枚/反(?)→収量:8.5俵
「通常」と表現したけど俗にいう「セドリ」なのでプロ農家さんでもなかなかありえない収穫量という事を考慮するとかなり効率の良い営農方法という事が言えると思います。
また、収量に関しては「セドリなんか出来ちゃうと味が落ちる」という説もあり弊社としてはもろ手を挙げて喜ぶ事でもない気がします。
今回は「苗箱数」と「収量」で率を計算したわけですが面積からするとちょうどよい気がします。
(おいしいお米どころの農家さんは「8表/反」を目処に営農を仕切っているようです)
春に散布した「畑の大将(赤)」は収穫が終わって耕す時でも構いません。
むしろそちらの方がベターです。(散布量は春に撒くのと同じです)